アナゴというと「ウナギの蒲焼きは高いから、アナゴの蒲焼きでも買うか…」と、なんだかウナギの代用品のように思っている人が多いようです。
しかし、江戸前寿司を愛する食通は、夏になると、馴染みの寿司屋で必ず「アナゴ」を注文するそう。
美味しいのに案外知られていないアナゴの良さ…。
そんなアナゴの魅力を、以下でご紹介していきます。
アナゴの価格・旬の時期・主な産地
天ぷらや寿司には欠かせない主役級の夏の魚、アナゴ。
外食で楽しむ人が多いように思いますが、旬の時期には、家庭でも調理して楽しんでみたいですね。
まず、ここでは、アナゴを購入する際、参考になる情報をお伝えしていきます。
価格について
アナゴをスーパーで買う場合、他の魚と違い、惣菜や蒲焼きとして加工済みの商品の方が、安く手に入ります。
最も安いのが、「アナゴの天ぷら」で、1枚120円程度です。
「アナゴの蒲焼き」は、120グラムで620円程度です。
もっと高い蒲焼きもありますが、あまり高いと「それなら、ウナギの蒲焼きの方が食べたい!」となり、手が出ないのではないでしょうか。
家庭でアナゴ料理を作りたい方は、業務スーパーに行ってみましょう。
天ぷら用に開き、打ち粉まで付けた商品が手に入ります。
「天ぷら用アナゴ(冷凍)」は、50グラム×10枚で、800円程度です。
アナゴの旬の時期は、6~8月です。
一般的に、アナゴの風味は年中変わらないとされていますが、冬のアナゴは皮が少し固いのです。
やはり、6~8月にかけて獲れる「梅雨アナゴ」「夏アナゴ」と言われるものが、旨みが強く美味しいです。
アナゴの生息域は、北海道~九州までの内湾です。
人口の多い都市部のある湾 (東京湾、伊勢湾、三河湾、大阪湾、瀬戸内海) などに多く生息しています。
主な産地は、愛知県、長崎県、兵庫県、島根県、福島県、山口県です。
アナゴの名前の由来
アナゴは、狭い場所を好み、穴などにもぐり込む習性があるので「穴子 (アナゴ)」と呼ばれています。
「子(コ)」は魚を表す語尾です。
アナゴの栄養成分
アナゴは、ビタミンAを他の魚の100倍近く含んでおり、アナゴ100グラムで、大人の1日の必要摂取量のほとんどを摂取することができます。
ビタミンAは、目の機能をサポートしたり、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用などの働きで知られています。
ウナギと比べ、脂肪は半分、カロリーは3分の2程度というヘルシーな魚、アナゴ。
太る心配もないので、もっと積極的に毎日の食卓に取り入れたいですね。
アナゴの不思議な生態
遠くの海で浮遊卵として産卵し、黒潮に乗って日本各地の沿岸に到着した後、成長すると再び産卵場に戻って卵を産む習性を持っています。
日本にやって来たアナゴの産卵時期や産卵場所は不明で、ミステリアスな魚だと言えます。
アナゴの生態は、なかなか興味深いものです。
昼間は内湾の砂泥地帯の穴の中にひそんでいて、夜になると穴からはい出してきて行動する夜行性です。
気性はとても激しく、漁師の指や長靴に噛みつくこともよくあるそうです。
寿司屋で食べるアナゴ
昔から、江戸前寿司の通人は、寿司屋に行くと、卵焼きとアナゴと光物を必ず注文すると言われてきました。
この3つは、寿司屋で味付けしなければなりません。
そのため、これらを食べるとその店の職人の腕前がわかるというのがその理由です。
このように、寿司には欠かせないネタである、アナゴ。
関東では煮る (煮穴子) のが主流、関西では焼く (焼き穴子) のが主流です。
アナゴの美味しい食べ方
アナゴ料理と言えば、やはり天ぷらが人気です。
開いた小ぶりのアナゴの水分をよく拭き取り、天ぷら粉をつけて揚げます。
自宅で揚げても美味しいので、ぜひお試しください。
パン粉をまぶして揚げる「アナゴのフライ」も美味しいですが、重くこってりした仕上がりになるので、若い人向きかな、と思います。
家庭料理としては、「穴巻き」(煮穴子を巻き込んだ卵焼き) が最高です。
卵を溶き、酒、少量のだしなどを加え、煮穴子を巻き込みます。
料理のテクニックも不要で、実に美味しいです。
外食で楽しむメニューとしては、脂が乗った時期 (6~8月) の白焼きがお勧めです。
値段は少々高めですが、ぜひ試してみてくださいね。
まとめ
江戸前寿司が好きな人なら、夏になれば、寿司の名店のアナゴが恋しくなることでしょう。
家庭でアナゴ料理を作るのは難しそう…と尻込みする人が多いかと思いますが、業務スーパーで、下処理済みのアナゴを簡単に手に入れることができるんですよ。
夕食のレパートリーのひとつとして、取り入れてみてはいかがでしょうか?
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