アユといえば、初夏に食べる「アユの塩焼き」が真っ先に思い浮かびますね。
旅先で、美しい川の流れと鮮やかな新緑を楽しみながら食べる「アユの塩焼き」は、最高です。
ここでは、家庭でアユ料理を楽しむための、さまざまな情報をお伝えしていきます。
アユの価格・旬の時期・主な産地
「川魚の王様」とも呼ばれるアユ。
天然のアユは、水質がきれいな河川にしか生息しないと言われています。
初夏が旬の天然のアユは、スイカのような香りが素晴らしく、新しい季節の訪れを感じさせてくれます。
まず、ここでは、アユを購入する際、参考になる情報をお伝えしていきます。
価格について
天然アユと養殖アユで、価格がまったく違います。
ここで皆さんにお勧めしたい天然アユは、ぜひ都心部の高級スーパーで手に入れてください。
6~8月ならば、一尾1400円程度です。値段の安い冷凍アユ(養殖) は、業務スーパーで手に入ります。
10~11尾で3000円程度です。
冷凍アユを使って、美味しいアユの塩焼きを作ることもできます。
凍ったまま焼くのがコツです。
電子レンジで解凍してはいけません。
もっと簡単で失敗のない調理法は、フライです。
アユは資源保護のため、11月から5月は禁漁となっているところが多いです。
旬は、禁漁明けの6月から8月頃までです。特に7月の若アユが骨も柔らかく美味しいと言われています。
産卵前の子持ちの「落ちアユ」が美味しいという方も多いようです。
落ちアユの旬は、地域によって異なります。
近畿では9月から10月にかけて、東北では8月下旬から、九州では10月になってからとなります。
天然アユの主な産地は、茨城県、神奈川県、栃木県、岐阜県です。
天然アユの漁獲量が多い河川は、相模川 (神奈川県)、那珂川 (栃木県から茨城県)、長良川 (岐阜県から三重県) です。
養殖アユの主な産地は、愛知県、和歌山県、岐阜県、滋賀県です。
滋賀県の琵琶湖は、幼魚の産地としても有名で、琵琶湖産を放流している河川も全国に多く見られます。
アユの栄養成分
アユの栄養成分で特に注目したいのは「ビタミンE」。
アユに含まれるビタミンEは、魚類の中ではトップクラスの含有量です。
ビタミンEには抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑えて細胞の老化を防ぐ効能があります。
アンチエイジングに興味があるすべての方にお勧めしたい栄養素です。
また、血行を促して末梢血管を広げる効果もあるので、冷えや肩こりにお悩みの方にもお勧めの栄養素です。
また、アユには「ビタミンB12」も豊富に含まれています。
ビタミンB1には造血作用があるので、貧血気味の方には特にお勧めです。
その他、神経機能を正常に保つ働きがあるので、集中力の低下や気分の落ち込みを防ぐことができます。
アユの生態
秋に河川の河口近くで孵化したアユの仔魚は、河口から遠くない範囲の海に出て、プランクトンや小さなエビなどを食べて育ちます。
春になると5~10cm程度の稚魚となり、河川を遡上しはじめます。
河川では岩についている藻を食べて育ち、それに合うよう歯の形状や体色も変化していき、成魚へと成長します。
秋になると産卵期を迎えます。アユは生殖活動が1回しか行えないという性質で、1年でその一生を終えます。
近年、アユの生態を無視してダムが建設されたことにより、海からアユが遡上しがたくなりました。
このため天然に産卵するアユが減り、今ではアユといえば養殖ものが一般的となり、天然もののアユは、高級で特殊なものとなってしまいました。
アユの友釣り
河川に生息するアユは、主に川底の石についた藻類を食べています。
このエサを確保するために、群れずに縄張りを作る習性は、よく知られています。
自分の縄張りに入り込んできた他のアユを体当たりして追い出そうとするアユ。
この性質を利用して「友釣り」という方法の釣りが行われています。
アユ釣りは初夏に解禁されます。
「友釣り」のやり方は、なかなか興味深いものです。
空針をおとりアユからたらして、縄張りを侵されて反撃してくるアユを引っかけるのです。
空針は、藻と見間違えそうな見た目です (アユが藻を食べるため)。
琵琶湖のアユ
琵琶湖のアユは普通のアユのように海には下らず、琵琶湖を海の代わりとして利用しています。
琵琶湖のアユには、2系統が存在します。
ひとつは、春になると琵琶湖に流入している河川へ遡上し、川の藻を食べて大きく成長するものです。
もうひとつは、遡上せず湖内でプランクトンをエサとして、大きく成長しないまま一生を終えるものです (コアユ)。
これらのアユは、海水では生きていけない体質になってしまっているようです。
現在、琵琶湖のアユを他の河川に放流していることが多いのですが、琵琶湖のアユがその河川にいるアユと交雑した場合、その稚魚は、海では生きられない性質となることがわかっています。
これは非常に大きな問題です。この稚魚が河川から海に出たときに、死んでしまうのですから。
ただでさえ少ない河川の天然アユが激減してしまう可能性があります。
アユの味わい
水質が良い河川で獲れる稚魚や若アユは、スイカのような素晴らしい香りがします。
水質があまり良くない河川で獲れるアユは、キュウリのような香りです。
養殖もののアユの場合は、香りはほとんどなく、あってもごくわずかです。
アユの美味しい食べ方
一番美味しいアユ料理といえば、やはり塩焼き。
振り塩をしてすぐに焼きましょう。
家庭の魚焼きグリルで焼く場合は、弱火でじっくり焼いてください。6月~7月上旬のアユは、骨も皮も柔らかいので、丸ごとかぶりついても美味しく食べられます。
稚鮎、琵琶湖産のコアユは、天ぷらにするととても美味しいです。
骨もまったく気になりません。滋賀県に旅行した際には、和食店に立ち寄り、ぜひ一度食べてみてくださいね。
アユの栄養とは
アユにはDHA・EPA・ビタミン・カルシウム・鉄分など体に良い栄養成分がたっぷり含まれています。
アユの栄養成分EPA、DHAは「病気の予防」に効果的
さんまに含まれるEPA(エイコサペタンエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)には、血液をサラサラにする成分や脳細胞を活性化させ、頭の回転を良くする効果があると言われています。
それにより脳梗塞や心筋梗塞などの病気の予防、痴呆症やアルツハイマー型認知症等の予防に効果があるのです。
アユに含まれる鉄分は貧血を予防
成長期に必要なカルシウムやカルシウムの吸収を助けるビタミンDなどの栄養成分も多く含まれています。
またDHA・EPAは、内蔵脂肪を減らす効果があり、血液の流れを良くし代謝を助けダイエットにも効果があるとされています。
まとめ
私たちが思っている以上に、市場に出回っている天然アユは数少なく、貴重なものとなってきています。
しかし、養殖アユと天然アユは、別ものと言っていいほど、味わいも香りも異なります。
値段は高いですが、6月から8月の旬の時期に、ぜひ、季節の訪れを感じさせてくれる天然アユを味わってみてくださいね。
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